夕暮れどき豊洲公園。
隅田川の終わりと言ってよいのか東京湾と言ってよいのか分からないが、向こう岸が月島になる”東京湾”に面した歩道の一段高くなった斜面に、黒いキャップの男性がイヤホンをつけて体操座りで湾を見つめている。
音楽を聴きながら何やら考え事をされているように見えたが、思い切って声をかけてみた。
ゆんさん。
話しかけると一瞬驚いた表情をされたが(当たり前だ)ゆっくりとイヤホンを取って僕の話を聞いてくれた。
話を聞いてくれるだけでもありがたいのに撮影のお許しまでいただけた。
たまらなく嬉しかった。
なぜなら、記念すべきストリートポートレートのお一人目だからだ。
「キウンカ」というバンドでヴォーカル&ギターを担当されているゆんさんはクールで落ち着いた面持ちの方だったが、いくつか会話を交わすうちに自然と笑みがこぼれた。
初めて見ず知らずの人に声をかけて写真を撮らせてもらった。
僕は場をつなぐように言葉を選んで発するが、最後の方は「良かったらライブの写真なんかも撮りますので!」と調子に乗ってしまう。
「1枚撮らせてもらえませんか。」と言いながらも、最終的には10枚ほどパシャパシャとシャッターを切りお別れをした。
すでに日は暮れてしまい風も寒さも増していたが、帰り道が本当にうれしい気落ちでいっぱいで寒さはみじんも感じなかった。(興奮冷めやまず妻にLINEを連打。)
この日のうれしさと感謝の気持ちは生涯忘れない。
ゆんさん、ありがとうございました。
またどこかで会える日が来ればいいな。
2024年1月19日(金)

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